誰があなたを殺したの

千秋楽まで耐えきって

泥の人形と幽霊に、ごめんなさい

あまり高頻度に書くとすぐ飽きると思っていたんだが
書きたいので書く

これは自己紹介です。
まず私は人間ではない。
これは自己認識の問題であって人から認識される私は人間であると思う、思いたい。
ちなみに自己認識では泥の人形だ、泥というか沼から生まれたヒトガタだ
スワンプマンという思考実験をご存じだろうか?
男がいて沼に行って雷が落ちて男は死ぬが
沼から男と全く同じ生き物が生まれて男として生きる。
それは男と同じであるかという内容だったと思う
どう思うかは個人の自由だが
私は沼から生まれたものは少なくとも男のオリジナルではないと思う
まぁ、用はそういうことなのだ
私はオリジナルでない。
ではなぜそんな風に考えているかと言えば
17歳のときの自殺未遂が原因でそれ以来その時の幽霊が見えるからなんだが
たぶんこの幽霊は幽霊ではなくて幻覚なんだろうけれど
それでも私からすればオリジナルの幽霊だ
これから幽霊を 彼女 と表記する
彼女との解離には死にたい気持ちが全く理解できなくなったっていうのもある
どうしても死ななくちゃいけないと思っていたのに、だ
今考えるとなぜそんなことで?とすら思う
おそらくみんなそう思う
古典の単位を落としたからだ
な?そんなことで?と思うだろ?
そんなことで彼女は死ななくちゃいけなかったんだ
5回までしか休めない授業を6回目に休んだ日
彼女は近所の廃墟から飛んだ
馬鹿だと思う
なんならいまだに腰と足首が痛いのでふざけるなと思っている
雨が降ったので今も痛い

飛ぶ数日前から死のうとはしていた
ネットで煙草を2本飲んだら死ぬという記事を読んで
夜中にこっそり父のセブンスターを一箱くすねて4本飲んだ
倍飲んだら確実かなと思ったからだ
翌日普通に目が覚めて絶望した(実はこの辺の記憶は曖昧なので何度も繰り返し読んだ彼女の日記の記録しかない)
なのでその日も学校を休み残りの煙草をすべて紅茶みたいに抽出した(おそらくそのまま飲むのが無理だったため)
抽出された液体はとてもじゃないが飲める代物ではなかった
なんせ口にいれた瞬間に痛い、服毒死も痛いのかと思った
なのでまろやかにしようと牛乳と砂糖を入れた
タバコミルクティーの完成だ。優雅だ。
それでも味わえるものではなかったので一気に飲んだ、吐いた。朝飯ごと出た。
それでもどうしても今日死ななくてはならなかったので(単位を落としたため)
包丁を腹に突き立てた、着ていたYシャツには穴が開いたが自身は全くの無傷だった
正気すぎる自分では刺せないと思って泣いた(正気とはなにかを疑いたくなる)
ひとしきり泣いた後、飛び降りるしかないと思ってずっと目をつけていた廃墟に行くことにした
行く途中で鍵がかかっていたらガラスを割ろうと決めて小銭を作るために自販機で梅よろしを買った(これのせいで今でも梅よろしを飲むのを躊躇う、好きなのに)
ちなみに鍵とかはなく外階段で屋上までこれた
3階建ての屋上なので今思うと死ねないと思う相当運が良いか悪いかだ
彼女的には死ねなくとも精神科に行ければよかったので死ぬことはさして重要じゃなかったのかもしれない、まぁ彼女は死んだが。
午後二時くらいにはその廃墟についていたと思う
飛び降りようと思ってすぐ飛び降りれる奴は相当イカれてる。彼女は躊躇った。
塀の内側と外側を行ったり来たりしていた
ある程度その高さになれると塀の外側に座り足を下ろして音楽を聴きながら日記を書きはじめた(私からすれば彼女も充分イカれている)
実はこの日記は既に廃棄されているが忘れられない一文がある
「親に助けてって言うのとここから落ちるのどっちが怖いかなぁ」
この文は今は同じくらい怖いなって続くが
それは比較されることなのか
…それについてはまたいつか親についての記事で書こう
まぁ、結論からすれば落ちる方が楽だったのだ
14時40分になっても飛べなかったら親に言おうって書いたあと、きっとどちらも選ばずに明日学校へ行くんだろうなと書いた彼女の自己認識は間違っていた
飛んだ瞬間にあ、私飛べるんだと思った
そう、彼女は飛べた

飛んでる瞬間に落ちる感覚は無い
まるで浮いているようで何時までたっても地面にたどり着かない恐怖がある、目は開けられない、自分が今どこまで落ちているかは分からない、地面はいつだろうと思う、もしかしてなにかに引っ掛かっているんじゃないかと考える、もしかして羽が
衝撃。次に絶叫。
聞いたこともない音で獣の鳴き声かと思う
ふと叫んでいるのが自分だと自覚する
喉に意識を向けてゆっくりと閉じる、絶叫が止まる
ゆっくりと目を開ける周りは砂利で自分が落ちたのだと思い出す
生きているのだから帰らなければ、動けない、全身が痛い
仰向けのまま辺りを見渡す携帯がある助けを呼ばなければ

とまぁ、こんな感じに救急車を呼んで入院して
ふと気づいたら私を見ている幽霊がいた
薔薇のチャームのチョーカーをして、黄色い眼鏡をかけて
穴の開いたYシャツと黒いカーディガンを着たおさげの女の子。あの日の彼女だ。
その日から私はオリジナルではいられなくなった。

そしてその日からずっと頭のなかで「ごめんなさい」という声も聞こえる
なので常に音楽を聴いている。
調子がいいときは邪魔にならない音量だが
調子が悪いと外の音すら聞こえないので困っている
困ると大体私がオートで動く、主治医には離人症だと言われた。
誰に向けての謝罪なのか、何に対しての謝罪なのか、誰の声なのか
私にはまだ分からない。
いつか分かったらきっと私もオリジナルになれる気がする
私はいつかオリジナルになりたい。
オリジナルになることに意味があるかは知らないが
オリジナルなんだと思いたい。
偽物だと彼女に責められるのは飽き飽きなのだ
それでも私はまだ彼女の模倣をしている。
Twitterで出会った人は私しか知らないのに私は誰に認められたらオリジナルだと思えるんだろう。
彼女が消える日が私がオリジナルになる日かもしれない。
私はきっと彼女にこそ認めてほしいのに。